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メルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」




BGM;:岡田克彦作曲『ラブ・ユー・フォーエバー』朗読のために OP.87

(朗読;平野啓子、ピアノ;岡田克彦)



2000.9.13.岡山後楽園・名月鑑賞会、ライブ収録 〕〔司会者の紹介、トーク含〕



主なエッセイ :
『失われた時のために』   『梅の香りは、変ト長調』
『メルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」』(朗読文面付き)
『ショパンの「雨だれの前奏曲」を弾き始めて』
『高松高校の甲子園出場と、さぬき弁、さぬきうどんのこと』
『マシェーズから、座光寺君に宛てて』
『ネルケンの思い出』   『孤独とノスタルジーの果てまで』
『若き日のドビュッシー』   『北ドイツの寂しい午後』
『世界の子供達のためのチャリティ受難曲』
『君と好きな人が百年続きますように』   『千の風になって』
『ぼくの大好きなショパンのこと』   『白骨のお文』
『20世紀末より愛をこめて』   『瀬戸内海のこと』
『栄養マヨネーズの思い出』   『ピアノ奏法について』
『ディヌ・リパッティーのこと』   『ホロヴィッツの思い出』
『グレン・グールドのピアノを聴いて』
『晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔』
『アーティストとして』   『プッツンに関する若干の考察』
『演奏会のプロデュースについて』   『アマチュアとして』
『感覚的な経験について』   『知識と感性、響きと語法』
『海の色も、山の姿も、昨日に続く今日でした。』
『室内楽の演奏について』   『響き合いを求めて』
『芸術家と音楽愛好家について』   『1986.10.10.P.M.』
『母の告別式を終えて』   『母の納骨と分骨をすませて』
『出身地・備讃瀬戸内海地域での演奏再開』
『香川県・さぬきの国に思うこと』
『ドビュッシーの弦楽四重奏曲』
『童謡の中の深い悲しみ』   『東京 VS 大阪』




後楽園








「ラブ・ユー・フォーエバー」 ロバート・マンチ作 乃木りか訳



おかあさんは うまれたばかりの

あかちゃんを だっこしています。

ゆっくり、やさしく、あやしています。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、あかちゃんを だっこしながら、

おかあさんは うたいだします。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

わたしが いきている かぎり

あなたは ずっと わたしのあかちゃん



あかちゃんは 大きくなります。

どんどん、どんどん大きくなります。

大きくなって、2さいに なりました。

2さいのぼうやは いえじゅうを はしりまわり、

ほんだなのほんを ぜんぶ ひっぱりだし、

れいぞうこの なかのものを

みんな だしてしまいます。

そして、おかあさんの とけいを

トイレにながしてしまいました。

ときどき、おかあさんは さけびます。

「この子のせいで、きがくるいそうだわ!」



でも、よるになり、2さいのぼうやが

ねしずまると、おかあさんは

ぼうやのへやの ドアをあけ、

そうっと ベッドのところまで

はっていくのです。

そして、ぼうやが ぐっすり

ねむっているのを たしかめると、

ぼうやを だっこします。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、おかあさんは うたいだします。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

わたしが いきている かぎり

あなたは ずっと わたしのあかちゃん



ぼうやは 大きくなります。

どんどん、どんどん、大きくなります。

おおきくなって、9さいに なりました。

9さいのおとこの子は、ゆうごはんなんて いらない、

おふろなんか だいきらい。

そして、おばあちゃんがくると、

いつでも わるいことばを つかいます。

ときどき、おかあさんは おもいます。

「こんな子、どうぶつえんにでも うっちゃいたいわ!」



でも、よるになり、9さいのおとこの子が

ねしずまると、おかあさんは

おとこの子のへやの ドアをあけ、

そうっと ベッドのところまで

はっていくのです。

そして、おとこの子が ぐっすり

ねむっているのを たしかめると、

おとこの子を だっこします。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、おかあさんは うたいだします。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

わたしが いきている かぎり

あなたは ずっと わたしのあかちゃん



おとこの子は 大きくなります。

どんどん、どんどん、大きくなります。

大きくなって、ティーンエイジャーに なりました。

ティーンエイジャーの しょうねんは

へんな ともだちを つくり、

へんな ふくをきて、

へんな おんがくを きいています。

ときどき、おかあさんは おもいます。

「まるで どうぶつえんに いるみたいだわ!」



でも、よるになり、しょうねんが

ねしずまると、おかあさんは

こどものへやの ドアをあけ、

そうっと ベッドのところまで

はっていくのです。

そして、こどもが ぐっすり

ねむっているのを たしかめると、

その 大きな 大きな

こどもを だっこします。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、おかあさんは うたいだします。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

わたしが いきている かぎり

あなたは ずっと わたしのあかちゃん



しょうねんは 大きくなります。

どんどん、どんどん、大きくなります。

大きくなって、おとなに なりました。

おとなになった むすこは いえをでて

となりまちに すむように なりました。



でも、よるになり、

あたりが まっくらになると、

ときどき おかあさんは

くるまにのって、となりまちまで

でかけるのでした。



そして、もし、むすこのいえの

あかりが すべて 

きえていたら、おかあさんは

しんしつの まどをあけ、

そうっと ベッドのところまで

はっていくのです。

そして、むすこが ぐっすり

ねむっているのを たしかめると、

その りっぱな

おとなになったむすこを

だっこします。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、おかあさんは うたいだします。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

わたしが いきている かぎり

あなたは ずっと わたしのあかちゃん



そして、おかあさんは、としをとりました。

どんどん、どんどん、

としをとっていきました。

あるひ、おかあさんは

むすこに でんわをかけて、いいました。

「あいに きてちょうだい。

すごく としをとって、

びょうきに なってしまったわ」



むすこは おかあさんに あいに

いきました。おかあさんのへやに

はいろうとすると、

おかあさんは うたを うたおうと

しているところでした。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも





でも、そのあとを つづけることが

できません。

おかあさんは すごく、としをとって、

びょうきに なってしまったので、

もう うたうことが できないのでした。



むすこは おかあさんのへやに

はいりました、

そして、おかあさんを

だっこしました。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、むすこは うたいだしました。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

ぼくが いきている かぎり

あなたは ずっと ぼくのおかあさん





そのよる、じぶんのいえに

かえった むすこは、

2かいに あがり、しばらくのあいだ、

へやのまえで たちどまっていました。



それから、へやに はいりました。

そこには、まだうまれたばかりの

おんなの子が ねむっています。

かれは、あかちゃんをだっこして、

ゆっくり、やさしく、あやしだしました。

ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。

そして、あかちゃんを

だっこしながら うたいました。



アイ・ラヴ・ユー いつまでも

アイ・ラヴ・ユー どんなときも

ぼくが いきている かぎり

おまえは ずっと ぼくのあかちゃん








このメルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」は、1999年、2000年にわたり、連続ベストセラーになったものなので、 ご存知の方も多いと思います。


2000年9月13日に、岡山県の石井県知事の招聘で、岡山県庁主催の「後楽園築庭300年祭」に出演し、江守徹さん、平野啓子さんの朗読と自作自演で共演しました。


この時、私が一番やりたかった朗読とのコラボが、メルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」でした。


当時は、年老いた母も、まだ、骨粗しょう症がひどくなる前でしたので、高松市錦町在住の叔母が岡山まで連れてきてくれ、聴きに来ていた、平野君の友人の岡山ロータリークラブの 皆様が案内してくれましたので、2500人の聴衆のいるステージで、自作を母に聞かせられたことは、私にとっては、最後の親孝行になったと思います。


このベストセラーになっているメルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」は、母親と息子の愛を題材にした、ロバート・マンチの傑作です。


素晴らしい文面だったので、文面のファックスを高松で受け取った私はすぐに入れる音楽が浮かんで出来ました。


使った、クラシックのポピュラーナンバーは、

フォーレの「ベルスーズ」(ドリー組曲より)
シューマンの「異国から」(子供の情景より)
ドビュッシーの「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」(子供の領分より)
ドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」(子供の領分より)
ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ・第二主題」
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」

の、6曲のモチーフでした。


私の母の生前の2000年9月13日に、岡山後楽園の2500人の聴衆の集まった大ステージで、ピアノソロを10曲ほど 演奏したあと、平野啓子さんの朗読するこのメルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」に、ぼくがピアノソロのために作曲、 アレンジしたBGMを添付して、客席にいた母に聴かせることが出来、母も喜んでくれたので、ぼくは、作曲と ピアノをやっててよかったなぁ、と深く感謝したものです。


本屋さんでは、このメルヘン「ラブ・ユー・フォーエバー」の、なかなか素敵な表紙の絵本が手に入りますので、 また、機会があったら、ご覧下さいませ。









Copyright (c) 2001-2009 Katsuhiko OkadaAll rights reserved




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