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『響き合いを求めて』



住友信託銀行 システム開発第一部 調査役補 岡田克彦


(1990.9.執筆、1991年度、住友信託銀行新卒者向け会社案内グラビアページ
‘his point of view’のグラビア添付用自己紹介文として掲載)


BGM;岡田克彦作曲;組曲「病床にて OP.55」より、『点滴の詩(うた)』(エンドレス)
2001.1.31.倉敷御園旅館「岡田克彦の世界サロンコンサート」
自作自演ライブ収録



新大阪・日本ベーゼンドルファーにて

1991年度、住友信託銀行会社概要
グラビア"his poind of view"より
(日本ベーゼンドルファーで撮影)







「音楽はうその中でも、もっとも美しいうそです。」

これは、私の好きなドビュッシーのことばです。私も美しいうそを求めて、小学生のころから書きためてきました。 もう、600曲くらいになるでしょうか。

一昨年、「クラリネットとピアノのためのドメスティックなラプソディーOP.61」 という、日本の原風景といったものをイメージした曲を、東京・御茶ノ水にある室内楽専用のカザルス・ホールで行なわれた コンクールで発表し、1位をいただきました。

そのときの審査員だった、ヴィオラ奏者の今井信子さんはオランダに戻って(彼女はアムステルダムに住んでいます) この曲を演奏会で弾いてくれたそうで、たいへん光栄に思いました。

でも、もっとうれしかったのは、コンクールを聴きに来ていたあるお年寄りの女性から、 「聴いていて自分の育った田舎の山や川が浮かんできました」という手紙をもらったことです。

音楽は、美しいうそであると同時に、それを受けとめてくれる人との感受性のコンタクトだと思います。あるモチーフで、例えば旅行したときに 見た風景を素材に私なりの感性で作曲をします。それを演奏家は演奏家なりの感性で弾き、聴く人はまたその人なりの感性 で受けとめる。その三者のコンタクトの中から生まれる響き合いが私にとっていちばん大切なものなのです。曲というのは そのための手段に過ぎません。

クラシックの作曲をしているというと、気難しい人間を思い浮かべる人もいるかも知れません。でも私は「明るく楽しく」 こそが、いい曲づくりの秘訣だと思っています。創作というのは何でもそうでしょうが、 自分の感性がそのまま表れるものです。いい曲を作ろうと思ったら、弾く人、聴く人の反応やいろいろな外からの刺激を素直に 受けとめる姿勢が大切で、自分の世界だけにこもっていては、すぐに限界がきてしまうでしょうね。

新しい人と知り合え、新しい刺激と出会えるという意味で、私は転勤が大好きです。 赴任先の一つ松山支店時代に盲腸を患って、1か月ほど入院したことがあります。入院は生まれて初めての体験だったので 何もかもが珍しく、その感動(!?)が私に「点滴の詩(うた)」 という曲まで作らせてしまい、見舞いに来た人や看護婦さんを呆れさせました。今、仕事では、私はシステム開発に 携わっています。システムという興味深いものとの新しい出会いを求めた私が、会社に希望を出し、それが受け入れられた のです。マーケット・リサーチのシステムを作ったときは、全店発表会で委員長賞をもらいました。預金・ローンなどの 大量一括処理に代表されるのがこれまでの銀行のシステムでしたが、現在住友信託では、信託ならではの、手づくりや きめ細かさといったノウハウをシステムに取り込もうと、力を入れています。

私が手がけたシステムという曲を、そのユーザーとなる社員が演奏し、聴衆であるお客様と響き合えたら、 こんなにすてきなことはありません。








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