「再現部の書き方」は楽曲の創造にあたって、構成上、最も大切な事の一つです。
ぼくが作曲において、形式感のある室内楽曲などで「再現部の書き方」で一番模範にしている最も素晴らしい作曲家は、
ガブリエル・フォーレです。もちろん、モチーフ操作の点では、ドビュッシーの拘り方にいろいろと学ぶ点が多いのですが、
再現パッセージの出し方については、フォーレが最も素晴らしいように思っています。
その代表作は、下記の3作です。
1.「ピアノ四重奏No.2 OP.45」第1楽章の第一主題の再現・・・・・複調
をはることによって効果的な再現にしています。
2.「ノクチュルヌ第6番」の第一主題の再現・・・・・沈黙と静寂
によって、謙虚な再現にしています。
3. 「レクイエム」の『リベラ・メ』の第一主題の再現・・・・・厳か
というほかない、再現部の正しいあり方を示している傑作です。
以上の中でも、特に第三番目の「レクイエム」の『リベラ・メ』の第一主題の再現のようなものは、フォーレ
以外の誰にも書けないような素晴らしい再現部です。
フォーレの「レクイエム」は大好きで、非常に長く聴き続けています。ぼくの愛聴盤は、「覇気ではルイ・フレモー、
完成度ではコルボ」になっていますが、いずれで聴いても、ともかく、『リベラ・メ』の再現部が来るまでは絶対に
聴くことを中断出来ません。
・・・・・弦楽器のピチカートにのって、一番最初にソロで提示されたあの第一主題が、合唱の斉唱によって再現される
くだり・・・・・
何回聴いても同様に感動し、フォーレの美しい再現部によってぼくの耳の感覚が洗い直されるように感じるのです。
正しい再現部とは、この作品に尽きると言ってもよいと思います!